【コラム4】哲学者もビックリ!
今日の東京は、寒い寒いと思っていたら、15時頃には雪がチラつき驚きましたね。
しばらく【コラム】では、さまざまな分野で活躍した歴史上の人物たちの、仏教に対する驚きの言葉を紹介することにいたします。
まずは哲学者から。
西洋哲学で「存在」と「時間」は切り離せないと考えられるようになったのは、二十世紀最大の哲学者ハイデガー(Martin Heidegger 1889-1976)の頃からです。
でも、仏教ではそれは常識でした。
たとえば、仏教書『正法眼蔵』(しょうぼうげんぞう…道元著)で、一番有名な章が「有時(うじ)の巻」ですが、これを知ったハイデガーは驚いてしばらく絶句したと伝えられています。
なぜかというと、「有時」とは、「有(存在)は時なり」ということ。
一方、ハイデガーの主著の題名は『有と時』。現在は『存在と時間』と訳されている有名な本です。大学受験をした人ならば、題名だけは聞いたことがあるでしょう。
仏教の時間論は、西洋哲学を二千年先取りしていたのです。
ハイデガーは、「もし私の理解が正しければ、これは私がすべての著作の中で言おうと試みたことだ」と言って、周囲を驚かせました。
普通なら「きっとこんなものだろう」と、仏教を自分に理解できる程度に低めてしまう人がほとんどですが、ハイデガーの場合は仏教に対して「もし私の理解が正しければ」と前置きするところも、謙虚な人間性がうかがえます。
このような深さもしれない深い教えを、そう簡単に自分が理解できるはずがないと、仏教の凄さ・素晴らしさを見抜いていたのでしょう。20世紀最大の哲学者と呼び声が高いのもうなづけます。
「仏教はキリスト教に比べれば、100倍くらい現実的です」
こう言ったのは、ニーチェ(19世紀のドイツの哲学者)でした。
彼は、わずか24歳で大学教授になるほどの天才ながら、「神は死せり」の断言で、キリスト教社会から痛烈な非難を浴びた人物です。
しかし、没後100年以上たってようやく世界がニーチェの先見性に気づいたのですから、やはり“天才”だったのでしょう。
当時、圧倒的に力のあったキリスト教を真っ向から否定し、無神論者を表明していましたが、仏教についてだけは、
「仏教は、歴史的に見て、ただ一つのきちんと論理的にものを考える宗教と言っていいでしょう」と述べています。
イギリスの哲学者・数学者のバートランド・ラッセルは、ノーベル文学賞を受賞し、親交のあったアインシュタインらと核兵器廃絶、科学技術の平和利用を訴えた宣言文が有名です。
ラッセルがその生涯を通じて宗教のきびしい批判者であったことはあまねく知られているところですが、彼は宗教の拠って立つ原理が真実でないとするとともに、宗教の社会生活において演じた役割が概して有害であったとします。
この彼の考え方をもっともはっきり示しているのは、その著作である『私はなぜキリスト教徒でないか』ですが、ここに述べられているような考えは、彼のあらゆる著書に散見されます。
そんなラッセルが、「今日の宗教では仏教がベストだ。その教えは深遠で、おおよそ合理的である」と言っていますから、ニーチェといいラッセルといい、宗教嫌いの哲学者でも、仏教の論理性・合理性には好感を抱くのでしょう。
私もそもそもは「哲学は好きで宗教は嫌い」でしたが、仏教は「宗教というよりは学問」と感じて学ぶようになりました。
「仏教」に偏見をもっている現代社会の人たちに対して、学ぶべきことの多い『人類の英知』であることを、無理のない形でうったえていきたいと思っています。
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